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涼宮ハルヒの憂鬱/sidestory/ラヴクラフトの世界
HARUHI/side story

涼宮ハルヒの憂鬱/サイドストーリー/ラヴクラフトの世界
涼宮ハルヒの憤怒


 キョンという俺の字名だが誰も本名を覚えやしないので、もうそれで良い。
 また涼宮ハルヒの謎パワーで幻想世界に飛ばされたから帰還するため試行錯誤している。
 
 そもそも何時ものようにハルヒが部室で朝比奈さんをオモチャにしていたのが全ての始まりだった。
 その日ハルヒが朝比奈さんにバニーガールのコスプレをさせて遊んでいたのだが少し悪戯の度が過ぎるようなので制止することにした。
 下手にハルヒを引っぺがすと朝比奈さんが全裸になりそうな状況だったので少々乱暴だったがハルヒの脳天を拳骨でポカリと軽く小突いた。
「やめんかバカもの」とね。
 しかし何かがハルヒの逆鱗に触れたらしく激怒させてしまった。
「キョン! みくるちゃんばっかり気にして! あんたなんか異世界に嵌まって迷い果てればいいのよ!」とハルヒが言った。
 朝比奈さんが涼宮ハルヒの憤怒に恐怖して逃げる事もできず半裸のまま蹲っていたのを記憶している。
 何時もなら仲裁に入る古泉が急に出現した閉鎖空間の《神人》狩りで忙しく不在だった。
 俺だけでハルヒを宥め賺す必要があったのだが付け焼き刃の御機嫌取りが火に油を注ぐだけで終わった。
 何故かハルヒが無意識に《神人》を発生させるような精神状態だったのも大きいだろう。
 長門が泰然自若と読書を続行していたのも記憶している。
 それから怒ったままのハルヒが帰ってしまったので朝比奈さんが、やっと立ち上がった。
 朝比奈さんの着替えを邪魔しちゃ悪いので俺も帰ることにした。
 一晩ハルヒも寝て起きたら怒りも治まるだろうと軽く考えていたのだが甘かった。
 これまで散々に苦労した経験と知識を無駄にしていたのだと気付いたのが翌朝だった。
 魔術が実在するラヴクラフトじみた幻想世界で目覚めたからだ。
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