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超能力仙道入門
超能力気功法奥義
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HARUHI/side story
涼宮ハルヒの憂鬱sidestory夜刀浦の冒険
キョンの雑記


 問一、俺にとって最古の記憶が何であるか?
 思い出を時系列通りに並べる作業を何度繰り返しても矛盾が出る。
 十歳までを幼年期、二十歳までを少年期、そうした括りで大雑把に分けることならば出来る。
 だが一つの期間を細分化しようと試みれば、途端にあやふやとなっていく。月日を重ねれば重ねるほど、それが困難になっていく。
 そして問二、俺の年齢が幾つなのか。
 結局、兄を名乗る鹿戸龍見に教えられただけの情報じゃないか?
 おまえが何年何月何日に産まれたと、そう言われたから、そう信じているだけじゃないのか?
 未だ二十歳前の少年期だと思い込んでいるだけじゃないかと疑問を得る。
 幼年期、少年期、青年期、壮年期。老年期に至ったならば後に死期を待つのみ。
 しかし自問自答するならば、何百年も生きて死期を超越していると理屈じゃなく直観で納得している自分がいる。
 ゆえに問三、俺の親が誰であるのか。
 兄から死んだと聞いている。名前ならば知っているが、顔も声も忘れ去った何処かの誰か。その程度の認識しか俺になく、特にこれと言った感慨もない相手だ。
 そんな者ら、いないも同じと言える。俺に親というものが無い。
 親がいないんだから当然、自分のルーツに興味を持って調べたが、市役所の記録までで行き詰まった。
 記号の羅列にしか思えない定型文書が在るのみだった。
 まるで、そう設定されたキャラクターみたいな都合のよさで、自分の核心に迫る事柄に辿り着けない。
 出来の悪い脚本に出てくる架空の人物めいている。
 一番古い記憶ってどれだよ? 俺の歳って幾つだよ?
 わけ分かんねえ、誰だよこいつ。
 寄る辺無き者という記号のようだ。
 だから、四つ目の問いを投げる。俺が何者であるか?
 最古の記憶を選べず茫漠。己が年齢を証明できず、親の存在すら曖昧模糊としている。
 そんな俺が、いったい何であるのか?
 鹿戸響介という名前に縋っても無意味だ。例えば俺の兄を自称する龍見など、名前を幾つも売るほど持っている。
 俺もまたカノト、キョウ、キョン、それからジョン・スミスなど、その時の気分で仮名を使い分けている。
 俺が縋る鹿戸響介という名前など、この世界この時代に生きる少年としての役割。たかだか十数年前に被せられ、ゆえに状況が変われば脱ぎ捨てるだけの衣にすぎない。
 俺の真実が何であるのか? それが問題だ。
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HARUHI/side story
涼宮ハルヒの憂鬱sidestory夜刀浦の冒険
キョンの雑記


 急用だと夜刀浦教会のシスターであるアリスンに呼ばれた。
 黒須高校から自転車で、黒須町に広大な敷地を有する教会に到着した。
 教会前の広場に、漆黒の修道服を身に纏ったアリスンが佇んでいる。
「えーと……シスター・アリスン? 現場で話すと携帯で聞いただけなのですが」
「……鹿戸響介君でしたね。鹿戸龍見氏の弟だという」とアリスンが言った。
 話を始める前の微妙な間から、何か考えてから発言しているのだと推測した。
 相手によって態度を使い分けるアリスンだが何故か現在、慇懃無礼な調子だ。
「本題の前に簡単な魔術を披露します」と言ってアリスンがアーミーナイフを取り出した。
 アリスンが片刃の切先からオーラを伸ばして光刃を形成する。
 【魔法カバラー入門】に両刃の剣である必要があると記述されている魔術だが問題無いらしい。
「やはり可視光線レベルまで凝集するなら手指とイメージだけよりも、道具を組み合わせたほうが簡単ですね」とアリスンが言った。
 光刃が、さまざまな物を形成する。
 長剣、螺旋状、ループ状、そしてラッパ状の投網。まさに変幻自在だ。
 最後に、光刃を柔軟な鞭剣に変えてアリスンが下段に構えた。
「お待たせしました。単なる準備運動です」
 何やら物騒なことを言い出したシスターさんが光刃に過剰な魔力を籠める。
「……ちょっとしたテストです。全力で回避しなければ死にますから注意してね」
 アリスンが飛翔するような跳躍と同時に、孤を描いて燦めく光の軌跡を俺の首に繰り出した。
 仰け反るようにして地べたを転がり回避成功。ビームウィップが傍の外灯を切断した。
 朝倉涼子と同じくらいマジな殺意だ。しかし朝倉涼子って誰だっけ?
 一瞬だが記憶の曖昧さで思考が空転してしまった。そのスキを見逃すアリスンじゃない。
 アリスンが背から機械仕掛けの偽翼を広げて滞空した。
「捕縛呪法アトラック=ナチャ!」
 ビームウィップがラッパ状の投網を形成した。
 まるで光の糸で編まれた蜘蛛の巣のようだ。
 投じられた網に絡め取られてしまった俺をアリスンが持ち上げる。
 網の端を握ったまま振り回すような感じで広場の石畳に叩きつけられた。
「……ハズレだったかな?」とアリスンが言った。
 反論しようとしたが全身打撲の苦痛を堪え忍ぶのに精一杯で沈黙するより他に無かった。
 酷い話である。
Fate/side story
フェイトsidestory螺湮(ライン)
ビッグバンモデル


毎度、藤ねえが出席日数が足りない俺と成績が悪い蒔寺の留年ギリギリ3年バカコンビに、ありがたい補習授業である。
 だが藤ねえの補習授業がまた脱線し始めた。昨日のテレビ番組が原因だろう。
「ビッグバンの宇宙創世で、無限小の特異点じゃなくて、直径17ミリメートル程度の球体を境にして無から有に反転したそうよ?」
 知性の高さをアピールしようとしているが最後の疑問形で台無しだ。
 昨夜、成り行きでライダーがチャンネルの権利を得て、皆で観たテレビ番組の概要を思い出す。
 我々が暮らす地球を含む宇宙全体が、およそ四七〇億光年の拡がりを持ち、それら構成要素の全てが宇宙誕生という原始において、僅か直径17ミリメートルの球体に収まっていたという学説だ。
 この球体を『ビッグバンモデル』と呼び、正に我々が暮らしている宇宙そのものである。
 ビッグバンモデルが有名な『ビッグバン』と呼ばれる大爆発現象を引き起こしたそうだ。
 夜刀浦で遭遇した大十字紅朔という魔術師の助言で、直径17ミリメートルの鉄球を投影魔術で物質化する修行を継続していたが、宇宙創世の真似事ということか。
 しかし弟分というより生徒として補習内容に軌道修正すべきだろう。
「藤村先生、授業内容から逸脱してます」
「なによう。同じ物理じゃない」
英語担当の藤ねえだが、教科書から脱線気味なものの数学と物理も授業可能である。教員免許が伊達じゃないということだ。
 そうした小話を間に挿みつつ補習が進む。
 終了のチャイムが鳴り響き、やっと放課後の補習が終わった。
「それじゃ、また明日ね」と、藤ねえが言った。
 数学と物理の教材を抱えて藤ねえが教室から立ち去った。
 蒔寺が机に突っ伏して、死んだように動かなくなった。
 下手に構うと騒々しいので放置しよう。
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